第5世代ネットワーク

スマートフォンやケータイに限らず、世の中の様々なモノ(IOT:Internet Of Things)がインターネットに接続され始めた今の時代。このままIOT端末が増えれば増えるほど、ますます通信インフラの重要性が高まってくる。

そんな未来の暮らしを支える次世代通信システムが「5G(第5世代移動通信)」だ。

これまでとどこが変わるのか? 速度が速くなるだけではないのか? 何ができるようになるのか? 一緒に考えてみたい。


私達が携帯電話などで利用している4G(第4世代)という無線ネットワークが、新しく5G(第5世代)に変わる事で多くの生活様式やビジネスの環境変化につながると言われています。なぜですか?


3つの理由があるんです。1つ目は、いま皆さんがスマホなどで観ている動画などの画質をもっときめ細かくしたり、ダウンロードをもっと速くできるようにしたり、動画をあらゆる角度から観ることができる自由視点テレビを楽しめるようにしたりなど、さらに使い勝手をよくして便利にするためです。そのためには、通信速度を今の10倍以上に高める必要があります。

2つ目は、家電や車などのIoT(モノのインターネット)のように、これまで無線ネットワークにつながっていなかったさまざまなものが、ネットワークにつながるようになるので、一度につなぐことができる通信機器の数を大幅に増やす必要があるんです。

3つ目は、つながる機器の数が増え、種類も増加することでサービスが多様化します。そうなると、用途によっては4Gでは実現できないほど通信のタイムラグを減らす必要が出てくるなど、ネットワークの新しい性能が求められるようになります。こういった理由で、4Gから5Gへとネットワークを進化させる必要があるんです。

これまで4G LTEが行ってきた通信回線の高速化は、道路にたとえるなら高速道路の車線(帯域幅)を増やすようなもの。

限られた設備の中で帯域幅を確保するのは難しい。


それに対し、5Gではこれまで使われていなかった周波数帯域を活用することで、道路自体を増やし、交通量を分散させて高速(大容量)通信を実現する

結果として大規模な情報量が処理できるため、帯域幅としてはかなりの改善が見込まれる結果となる。

これまでつながっていなかったものがつながるということですが、どんなものがつながるのですか?


今、身のまわりに存在するあらゆるものが、ネットワークにつながっていくと思います。たとえば2歳くらいのお子さんの靴に通信モジュールが入っていて、親が目を離した隙にどこかへ行こうとしたら、親のウエアラブルデバイスを通してアラームで教えてくれる。さらに、子どもの周囲を通行する自転車や車にも、危険を知らせてくれる。そんな技術が実現すれば、親も子どもももっと自由になれますよね。


他にも、雨が降る予報の日は、玄関にある傘立てが光って傘を持っていくように促してくれるとか。一部はすでに始まっていますが、ネットワークにつながるものが増え、それらが相互に作用することで利便性は飛躍的に高まりますので、今後つながるモノの数や種類は大幅に増えると見ています。

道路にたとえると、車の数が増えすぎてにっちもさっちもいかなくなりそうだから、インフラをつくり直す必要があるということですか?


道路のたとえでいえば、4Gも立派な高速道路なんです。今までも車線を広げたりして改善してはきたのですが、車の量が2倍、3倍どころじゃなく、もっと増えそうだとなってくると、新しく別の高速道路を建設しなくてはならなくなった。それが5Gというわけです。